ヴォドラスキン氏×沼野夫妻

昨日はジュンク堂トークイベントに行ってきました。
失礼ながらこの『聖愚者ラヴル』は未読なのですが、トークの内容は大変重厚で興味深かったです。(以下一部はFacebookの投稿からの流用です。)

ヴォドラスキン氏のトークはユーモアがありながらも真剣なものでした。
トークの内容は小説に沿ってユロージヴィ(聖愚者、юро́дивый)とはどのような存在か、また氏が研究者をしながら文筆活動を行うことについてや、この小説は中世ロシアを舞台していながらなぜ「歴史小説ではない」とあえて強調したのかなど、様々な話が出ましたが、観客からの質問の「文学の持つ力について」に対する答えが興味深かったです。

文学は人生の教科書ではなく、答えを与えるものではない。問いを投げかけるものだ。
正しく問いかけることは、時に正しい答えを出すことよりも重要だ。答えはそれぞれ一人一人が出すものなのだから。

また政治的立場について聞かれた際に、声を上げる必要があるときはもちろん声を上げる、しかしパブロフの犬になってはいけない、と答えていたのも印象的でした。

1時間半のイベントに対して通訳者2名態勢、お二人ともそれぞれが大変優れた通訳者であると同時に役割分担や役割の入れ替えもスムーズで(日→露が同時で露→日が逐次)、イベント全体としての構成も素晴らしかったと思います。国際交流基金の協力で実現した来日だそうです。